Column
補助金
新規事業を考えるにあたり
2025.02.21

■経営者が新規事業を考える背景

コロナ禍以降、既存事業の収益が減少している。
このままでは厳しい。何か新しい事業を立ち上げ、減少分を補いたいと考える経営者は多い。

頭の中には、いくつかのアイデアが浮かぶものの、本当に事業化できるのか? という不安がある。もし投資したのにうまくいかなかったら、既存事業にまで悪影響を及ぼしてしまうかもしれない。

さらに、「従業員は理解し、動いてくれるのか?」 という懸念もある。新規事業に夢を持ちながらも、さまざまなリスクを考えると、つい二の足を踏んでしまう。

「今は冒険せず、既存事業の収益改善に注力すべきなのか?」

その悩みは、至極当然のことだ。

この時点で「補助金があるなら、やってみよう」 という考え方は決してしないでください。

補助金ありきで新規事業を考えてはいけない。

新規事業は甘くない。補助金は、事業を成功させる「魔法の杖」ではない。
むしろ、補助金を活用したものの、事業が軌道に乗らずに終わるケースも多い。

では、新規事業を成功させるために、本当に必要なものとは何か?

新規事業には、立ち上げ時に膨大な思考エネルギー が必要になる。
スタート時には相当な行動力、そして軌道に乗せるための専任マネージャーの力 も求められる。

更に、 投資するための資金力と、それを決断できる意思決定力「GO!」と判断するための論理的根拠。これらが揃っていなければ、新規事業はただの「思いつき」で終わってしまう。

ヒト・モノ・カネといった三大経営資源が、既存事業と同じだけ新規事業にも必要になる。
つまり、既存事業を続けながら新規事業を立ち上げるのは、非常にハードルの高いチャレンジだ。

これは「両利き経営」に挑戦することでもある。
つまり、「今の事業を磨きながら、新しい事業も生み出す」 という、極めて難易度の高い経営判断を迫られるのだ。

まずは、既存事業をしっかり分析しよう

そもそも、なぜ新規事業を考えるのか?既存事業が本当に先細りなのか?やり方を変えれば、収益の改善はできないのか? 時代や環境の変化に適応しづらいビジネスになっているのか?

新規事業を始める前に、既存事業の窮境要因を冷静に分析することが重要だ。
「なんとなく不景気だから」「周りも新規事業をやっているから」といった曖昧な理由では、従業員も納得しない。

まずは、役員・マネージャー、そして従業員全員に対して、新規事業の必要性を論理的に説明できるかどうかを確認しよう。

「既存事業がなんとなく先細りだから、新規事業をやる」—このような考えでは、絶対にうまくいかない。

新規事業の思考はまだ先、補助金はもっと先の話

今の段階で、新規事業をどうするかを考えるのはまだ早い。
ましてや、補助金の話はもっと先のことだ。

とはいえ、既存事業をしっかり第三者目線で分析するのは難しい。
「考えているからこそ、悩んでしまう」—そんな状況に陥りやすい。

では、どの角度から分析すればいいのか?

実は、既存事業を徹底的に悩み、考え、分析することこそが、新規事業への一番の近道なのだ。
なんとなく漠然と考えていても、答えは出ない。

考えるとは、「分けて考えること」。

事業とは、社内の経営資源(ヒト・モノ・カネ)自社が所属する業界や、市場環境の変化競合の動きや、時代の流れ これらが相互に関係しながら成り立っている。

まずは、これらを要素ごとに整理し、分析することが重要だ。

■「強み・弱み」を深く掘り下げることから始めよう

自社内部については、これでもかというほど詳らかに書き出してみる。
いわゆる 「強み」と「弱み」 だ。

よく言われる言葉ではあるが、それだけ 「経営の本質」に関わる重要な要素 でもある。
待ちがってはいけないのは、「強み=一言でまとめられるもの」ではないことだ。

「技術力がある」
「顧客との関係が強い」

このように シンプルに言えることと、シンプルにしか言えないことは違う。
表面的な強みにとどまらず、その裏にある「本質」を掘り下げて考えることが重要だ。

今日は、新規事業を考える上での「入り口」となる部分について書きました。言いたかったことは「新規事業を考える前に、まずは既存事業の本質を見極めよう」ということです。

私は、このような既存事業の分析を、経営者・役員・マネージャーとともにファシリテートし、整理する支援 を行っています。

もちろん、補助金の計画策定支援も行っていますが、その前にこの時間が最も重要なのです。

読んで頂き、ありがとうございます。この続きもお楽しみに!