Column
雑記
カラスと水差しに学ぶ、試行錯誤
2025.01.30

ある日、長い旅をしていたカラスが喉の渇きを潤そうと、水差しを見つけました。しかし、中の水はほんの少ししかなく、嘴(くちばし)では届きません。カラスは途方に暮れながらも諦めることなく、試行錯誤の末に、石を一つずつ水差しの中に落とすことで水面を押し上げ、ついには水を飲むことができました。

このイソップ寓話は、知恵をしぼって努力を続けていればいつか報われるという教訓のお話です。経営にも通じる大切な教訓であると思います。

カラスは喉が渇いているという課題を抱えていました。その解決策は水を飲むことですが、簡単に解決しないのが課題です。解決手段として考えに考えた末に、小石を水差しに入れるという作戦にたどり着きました。ここで重要なのは、トライ&エラーを繰り返しながら改善を重ねた結果、小石を入れるという方法にたどり着いたという点です。

トライ&エラーの過程では、嘴を可能な限り差し込んだり、水差しを傾けたりと、さまざまな手段を考えて行動に移しました。その行動の末に小石を入れる作戦を思いつき、成功に至ったことで、水を飲むという課題を解決できたのです。

付け加えて、カラス以外に競争相手はいませんでしたが、もし競争相手がいたらどうなっていたでしょう。くちばしの長い鳥がきたら、一気に水を全部飲まれてしまい、カラスは違う場所に移動して新たな水差しを探すことを余儀なくされるでしょう。

ダイソンの挑戦:サイクロン掃除機の開発

掃除機で有名なダイソンのお話です。創業者ジェームズ・ダイソンは、紙パックを使わない掃除機の開発に取り組んでいました。目的は競争相手に負けない唯一無二の掃除機をつくることだったと仮説します。その上で、紙パックを使わない掃除機の開発が課題だったのでしょう。しかし、最初の試作機はうまく機能せず、多くの試行錯誤が必要でした。

なんとトライ&エラーの回数は5,127回!ようやく「サイクロン方式」の掃除機の開発を成し遂げたのです。しかし、販売には次の課題が待ち受けていました。既存の掃除機メーカーは紙パック市場を守るため販売を拒否したため、自ら販売ルートの開拓をしなければならなかったのです。そして、ダイソン掃除機は 「吸引力の変わらない掃除機」 という価値を確立し、今ではプレミアム家電市場のトップブランドへと成長しました。

ダイソンの成功は 「何度も試行錯誤を重ね、小さな改良を積み重ねた」 結果です。まさに 水差しに小石を入れるような努力」 の積み重ねでした。

もうひとつ事例としてマクドナルドの朝マック戦略を紹介しましょう。

マクドナルドの朝マック戦略:売上ゼロからの成長

1970年代、マクドナルドはランチやディナーの時間帯には売上が好調だったものの、朝の売上がほとんどなかったことが大きな課題でした。店舗の設備やスタッフは朝から稼働しているのに、お客がいないため、固定費が無駄になっていたのです。試行錯誤のプロセスとして下記の試行錯誤を繰り返しました。

  • 最初は「朝から通常メニューを提供」 → ほとんど売れない
  • 朝に来る客層を分析し、ターゲットを 忙しいビジネスパーソン向け に特化
  • 手軽に食べられる「エッグマフィン」を開発
  • コーヒーを強化 し、価格帯やプロモーションを試行錯誤しながら調整

現在、「朝マック」はマクドナルドの売上の約25%を占めるほどの重要なセグメントになりました。これは 「朝の売上がない」という課題に対し、トライ&エラーを繰り返して最適解を見つけた成功例 です。

成功へのプロセスを楽しむ

こちらもあきらめず、どんなアイデアでも行動をして検証してみて改善を重ね、前へ前へ進んでいくのです。成功という結果は大事ですが、簡単に課題が解決したり、成功したりという手法はありません。必ず小さな1歩からのプロセスがあります。このプロセスを楽しみたいですね。

あなたのビジネスにおいて 「今できる小さな一歩」 は何でしょうか? カラスが石を入れ続けたように、今できることを積み重ねることで、やがて成功へとつながるはずです。

共に悩み、共に考え、共に進みましょう。